本の紹介
親子sex快談


発行:1988年5月16日 定価:980円 発行人:甘糟 章 発行所:株式会社マガジンハウス



父●娘


羽仁進さん(昭和3年生まれ)  羽仁未央さん(昭和39年生まれ)

未央 性といえば、私が基本的なことを知ったのは3〜4歳のころ、「パパはどうやっておしっこを するの?」から始まって。 進 パパはおちんこというものがあるけど、きみにはないという話をした。ある日お風呂に入ったとき、 さわりたいっていうから、さすがに困ったね。でも、いつかはさわるんだからと思って「だいじなものだ からていねいにさわってくれ」と。そしたら、ほんとうにていねいにさわっていたね。 未央 それで第一段階は納得した。つぎはポルノ映画のポスターでしょう。 進 家の近くの電柱に、女の人が裸で髪をくわえているポスターが貼ってあった。ぼくには少しも刺激的 ではなかったんだけどね。 未央 それでときどき私が髪をくわえるようになった。 ウフフフ。 進 ぼくは、あれだ! と思った。  (中略) 進 そう考えると性というものの中にはいろいろな要素があって、感覚的の背中がゾクゾクっとしたり、 頭の中が乾いた感じになったりするのは、いわゆる性衝動が起こって感じるんじゃないと思う。 未央なんて、性衝動があるかなきかの年齢に感じているわけだから。未央にとって、おちんこも性なら、 髪の毛をくわえるのも性なんだなと思って、それ以上の追及はしなかったよな。 未央 そう、パパは礼儀正しかったよね。 





母●息子


木元教子さん(昭和7年生まれ)  木元崇宏さん(昭和42年生まれ)  

教子 私がお風呂上がりに裸で歯を磨いたりしているときにあなたが来ても「なあに」 なんてお尻向けてしゃべってるものね。あわてて隠す必要ないじゃないの? 崇宏 僕も母親だと思うと羞恥心が持てなくて。(笑) (中略) 教子 あなたが何も知らないお坊っちゃまだったら、私は危機を感じてお教えしなきゃ ならないけれどさ。イギリスで12歳でポルノ見てるのにお教えすることはございません。 教えていただきたいくらいで。 記者 それ以来、すばらしいというポルノは日本で見ていない? 崇宏 見ていません 教子 困ったね。話はかわるけど、大島渚さんがね、息子の部屋を建て増ししたときに、 自分がいちばん最初にマスタベーションしたときのことを思い出したんだって。そのと き、天井の節穴がすごく汚くてみじめな暗い思いがしたって。それで自分は性を隠微な ものとしてゆがめてとらえたというわけ。たぶん息子はこの部屋でマスタベーションを するだろう。そのときにとてもきれいな思い出として残るような部屋にしょうと。それも 父親の愛だと思って。 崇宏 いいね。感心しちゃう。





母●娘


俵 萠子さん(昭和5年生まれ)  俵協子さん(昭和35年生まれ)  

協子 あれは私が小学校3年のときだったわね。かわいがっていたメス犬のロクが生理になったなったでしょ。 私がびっくりして「死んじゃう」って泣いてたら、待ってましたとばかりにママが一冊の絵本を出してきたのよね。 お父さんとお母さんがおふとんに入ってて、ペニスの絵があって、お母さんのおなかの中に赤ちゃんがいて。 萠子 「赤ちゃんはどこからくるの?」っていう本だったわね。 協子 そう、それでママが「女の子の生理ってとてもたいせつなことなのよ」って教えてくれたの。   (中略) 萠子 ママが教えておきたかったのはね。コンドームがどうのとかは後で勉強すればいいことで、まず、 性行為がいやらしいことではなくて、人間にとってごく自然なことだっていいたかったのよ。 協子 うん、私もそう思う。



おちんちんの話 男の子が大人になるとき ペニスの文化史