私が見た星野焼の銘印には、「十」の一字、「星」の一字を切るあり、
「星野」、「星野十籠」と刻むあり、書体には、楷、行、草がある。
瓢箪枠内に「星の」又は「星野」と銘あるは茶器類に多い。
総して銘印は簡単な程製品は古いと見てよろしい様である。
極く古い物には刻印は認められない。
長方形の枠内に「星野」の二字を刻んだのがある
上の外、「坂本」や「重信」の銘印あるものもある。
高木良八の作品には、長方形の枠内に「高木良八」と刻んだのがある。
赤松勢蔵のには、丸に「勢」の字の銘印がある。
一見上野焼かと思はるる一つ巴の銘印が底部にあるのがある。
現在の高取焼び底部に見ると同様のものである
併し星野の巴銘には上野同様一つ廻しのものあり、
二重、三重その他幾重にも廻してあるものがある。
高木家に伝はる茶器には一重巴、南蛮写しの菊の花葉皿には、
二重、三重その他数多く廻してあるものがある。
そしてその傍らに瓢箪枠内に星野と記せる星野焼特有の
銘印を添えてあるのもある。
筑後陶瓷考(著者:浅野陽吉)発行所:鶴久二郎 昭和10年発行
文中「上の外」とありますが、原文は縦書きですので「右の外」となっております。
原文の旧漢字を新漢字に替えました。
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