4 農薬ムラの威力 根拠のない「農薬安全神話」がなぜ定着し、なぜ残留基準がメーカーの都合で決まるようなことが まかり通っているのか。背後にあるのは「農薬をめぐる利権システム」=「農薬ムラ」の存在である。 それは原発利権の関係者が強力な「原子力ムラ」を形成し、原発安全神話を作り上げていったのと似 ている。 (中略) 天下りと補助金で結びつく 農薬使用大国に生まれた「農薬ムラ」の主要な構成者は、農薬にお墨付きを与える農水省と、農薬を 製造するメーカー、それを販売する(全国農業共同組合中央会傘下の)農協= JAなどであり、これを 農林族議員が支えている。 (中略) 農薬利権に群がる人たちにとって、「農薬安全神話」の国民への刷りこみはどうしても必要た。そこで 研究者やマスメディアが取り込まれる。 他のムラと同じように農薬ムラにも、メーカーのお先棒担いだ言動をしたり、官庁などの審議会のメンバ ーになって、提言や答申作りに協力したりする「御用学者」が出てくる。 (中略) 日本の新聞社やテレビ局は事実上、政府や大企業などが発表する情報の伝達機関となっており、監視機能が弱い。 (中略) |