相貌失認とは?
まだ未知の不思議の世界のようです
近年では相貌失認を「熟知した人物を相貌によって認知する能力の喪失」と定義することがある
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鳥居方策氏 玉井顕氏 失語症研究(現高次脳機能研究) Vol. 5 (1985), No. 2 pp.854-857
http://www.jstage.jst.go.jp/article/apr/5/2/854/_pdf/-char/ja/
先天的相貌失認と後天的相貌失認があります
後天的相貌失認の原因
◎ 事故などによる脳障害
◎ 脳血管障害
◎ ウイルスによる脳障害
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誤った情報がネットで散見されます。出版物の中にも、、、
「天才と発達障害」
映像思考のガウディと相貌失認のルイスキャロル
岡南著 講談社 発売日: 2010/10/09
第三章 ルイスキャロルが生きた「不思議の国」
11 顔や表情を認知できない「相貌失認」
人の顔は、視覚的に個人を特定する重要なよりどころです。
さらに人の気持ちというきわめてデリケートなものが伝わる部分でもあります。
この顔がみえないか、もしくは部分だけしか見えないとしたら、どうでしょう。
人と人との違いを具体的に意識できない状態が生じます。つまり自分の気持ちと
他の人の気持ちとが違うという前提をつくることができず、常に自分と他の人とは
同じ気持ちであるという思いのまま、一方的な思い込みや、振る舞いとなって
しまうわけです。たとえば自分が楽しいければ周囲も楽しいだろうという具合で、
まさか周囲の人々が立場上、気を遣って合わせている。あるいは遠慮している
などとはおもえないのです。
つまり他の人の本音の部分が理解できないことにもなります。
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本書の帯のキャッチコピーは
「10年に1冊の画期的な人智科学の登場である」
発達障害研究の権威、杉山登志郎氏大絶賛!
私は唖然とした。視覚障害者を考えればいい。
作者は思い込みに激しい人のようだ。
相貌失認では表情認知は障害されないのが原則である。
顔を同定するときと、その顔の表情を理解するときとはまったくことなった脳内機構が
遣われるのである。
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(河村 満: 「街の顔」と「人の顔」(失語症研究 第21巻第2号))
http://www.jstage.jst.go.jp/article/apr/21/2/128/_pdf/-char/ja/
上記の表現を変えると
「瑠璃の家」 著者:松本寛大 講談社 2009年3月17日 第一刷発行
相貌失認には以下の合併症例が多いようです
◎ 地誌的記憶障害(俗にいう方向音痴)
◎ 車の型式区別不能。(乗用車とトラックの区別不能の方もいらっしゃる)
◎ 老若の判別不能。
◎ 性別の判別不能。
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ちょっと注意してもらいたいのは、相貌失認の症状を呈するずっと以前からよく知っているはずの
人物の顔を見分けられないことと、症状があらわれてから後に見た人物の顔を見分けられないことは、
別の問題だということです。
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「瑠璃の家」 著者:松本寛大 講談社 2009年3月17日 第一刷発行
熟知相貌に対する失認と未知相貌に対する弁別および学習の障害は、前者に比して後者の発現頻度
の方が遥かに高く、両者は必ずしも常に同一の脳損傷患者に出現するとは限らない。 これらの事情
から、熟知相貌の失認と未知相貌の弁別、学習障害は全く別々の病体であると考えられるようになり、
近年では相貌失認という術語は熟知相貌の失認のみを意味するようになっている。
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玉井 顕, 鳥居 方策, 榎戸 秀昭, 松原 三郎, 三原 栄作: 熟知相貌に対する失認と正常な未知相貌弁別能力
を示した右後大脳動脈外側枝閉塞の一例 . 失語症研究, 7: 160-166, 1987
http://www.jstage.jst.go.jp/article/apr/7/2/160/_pdf/-char/ja/
重度、軽度さまざまです。
未知相貌の学習障害にも相貌失認と同様の合併症例があります。
以上は「玻璃の家」と「失語症研究」の分かりやすい部分を拾い集めた知識を整理しました。
薄田泣菫のエッセイ「艸木虫魚」の中に面白い話があります。
明の詩画家許友は、ぶくぶくに肥った背低で、身体中に毛といっては一本も生えていなかった男だが、
人が訪ねて来ても、それに答礼するでもなく、そんな交際には一向無頓着であった。あるとき客が来て、
詩だの画だのいろんな話をして帰って往ったが、その後で許友は家の者に、
「今のは何という男だったかな。」
と訊いたので、
「あなたの御存じない人が、私に判ろうはずはありません。」
というと、許友は禿げた頭に手をやりながら、
「俺には一向覚えがないでな。」
と呟くように言ったということだ。
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艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)名前3より 作:薄田泣菫(すすきだ きゅうきん)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000150/files/3309_8193.html
青空文庫のボランティアの方々に心より感謝です
許友が未知相貌の学習困難者だったのでは、と私は疑っています。
そうなら家の者が気が付かないはずがないと思いでしょうか。
家の者どころか許友自身も気がつかない。そういうものです。
限られた人としか付き合いがなければ。と私は思います。
昔、乗り物の中で人に話しかけられたことがあった。
彼に見覚えがなかった。
親しげににこにこして話しかけられた。
「どなたですか?」と聞けなかった。
彼の話からすぐにいつどこで知り合ったのか分かるはずだと思った。
私も笑顔を絶やさず、ときどき軽くうなずきながら聞いていた。
内心、必死で話から誰かを探ろうとした。
時間がたつと、今さら「どなたですか?」とは聞けなかった。
10分以上彼は一人親しげに話し続けて降りていった。
結局何者なのか分からずじまい。
許友も時間たってから「どなたですか?」とは聞けなかったに違いない。
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知らない人を知っている人と誤認することありますよね。
その場合は、どちらかがすぐに気が付くと私は思います。
相貌失認に関して以下の本がとても参考になりました
著者:松本 寛大.. 出版社: 講談社 (2009/3/17)
交通事故による脳損傷が原因で重度の相貌失認になった少年を主人公にした推理小説です
玻璃の家 アマゾンに飛びます。