この本は二つの部分から成っている。
一つは「毎日新聞」夕刊、隔週掲載の宗教欄に、1987年4月14日から1992年
12月24日までの5年8ケ月間、執筆した「原点」というコラムを収録した部分である。
これは1991年10月22日までは全国版に、以降は大阪本社版のみに連載された。
全部で143回、1篇600字の短文であったが、そのほとんどがここに収められている。
本普のもう一つの部分は五人の方々との対談である。編集者の勧めもあって、かねて
から交流のある人たちにおねがいして承諾していただいた。
(中略)
いずれも宗教者ではなく、また宗教研究者でもない人たちである。もとより宗教は宗
教家、宗教者、宗教研究者のみが独占するべき問題ではない。むしろ非宗教人のなかに、
宗教に対する深い関心、鋭い洞察があることは、これを読んでいただければ瞭然であろ
う。こんなところからも宗教は逆説であることが理解されるのではないか。
(中略)
一九九三年八月八日
笠原芳光
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